2016年11月14日

公認心理師の国家資格化が実現

公認心理師カリキュラム等検討会が平成28年9月20日に開催された。厚生労働省のHPから、その検討会の資料を参照しました。その審議の概要は、以下の通りです。

[検討会構成委員]
本検討会委員16名のうち、日本臨床心理会関係の委員は3名(大野博之・公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会常務理事;川端直人・日本臨床心理士養成大学院協議会会長;村瀬嘉代子・一般社団法人日本臨床心理士会会長)であり、その他の心理学諸学会連合会から1名(子安増生・一般社団法人日本心理学諸学会連合理事長)、医師会関係委員1名、精神科病院関係委員1名、福祉系委員4名、少年犯罪系委員2名、学校関係委員3(小・中・大学)、産業関係委員1名である。心理関係は、臨床心理士関係委員が3名と圧倒的に多いのが目立つ。これは、基本となる受験資格が、心理学系の大学院修了生が基本資格であることが関係していると思われる。

[公認心理師の資格試験]
第一回試験が、平成30年度中に実施される見通しである。当資格取得の方法は、7つのルートが考えられている。そのなかで、現行の臨床心理士の有資格者(及び見込みの者)は、経過措置(付則第2条第1項第1号及び第2)に於いて、「施行前に大学院において省令で定める科目を履修(または履修中)」の条件で公認心理師試験に臨めることになると考えられる。

[公認心理師の役割]
 公認心理師法(平成27年度法律第68)の第2条において、以下に掲げる行為を行うことを業とする者とされる。第28条の登録を受けて、公認心理師の名称を用いて、保健医療・福祉・教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者とされている。その業務とは、
1.心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること、
2.心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと、
3.  心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと、
4.心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

 [活躍すると考えられる主な活動領域]
 公認心理師が活躍すると考えられる分野は、以下の分野である。分野によって、求められる役割、知識及び技術の範囲が、それぞれ異なっている。
    保健医療分野 ②福祉分野 ③教育分野、④司法・法務・警察分野、⑤産業・労働分野、⑥その他(災害支援等)
 [心理職の職域とおもな職務内容]
 6分野に分けて分類されているが、その中で「福祉に関する分野」に特化して、その内容を述べるならば、
◇具体的な勤務先の例としては、<児童福祉施設、障がい者施設、高齢者福祉施設、児童相談所など>
◇支援を要する者等として、<施設利用者・利用者の家族>、
◇主な職務内容として、<面接、グループワーク、各種プログラムの実施、家族関係の調整、地域支援・広報活動>
◇協働職種としては<施設職員>
◇他分野との関係としては、<必要に応じて医療機関や教育機関と連携>
[公認心理師は、支援を要する者に当該支援に係る主治の医師がある場合は、その指示を受けることとなっている(公認心理師法第42条第2)]
 [心理職としての現状の勤務者数] (H26年度調査)
    保健医療―施設等(介護老人保健施設など)  39%  推計人数 22,00024,500
    福祉―施設等(老人・障害者施設、児相施設など) 13%    推計人数 5,50010,600
    教育―SC、教育相談、学生相談など         28%     推計人数 17,100
    司法・法務・警察―鑑別所、少年院、裁判所、刑事施設、警察 4% 推計人数 2,400
    産業・労働―企業‥        9%      推計人数 5,700
    その他―施設心理相談室      7%      推計人数 4,400
総計               58,00065,000 (複数、非常勤含む)
             実際の心理職者数実数 38,00040,000